エノ・シュミットさんをお招きして

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本当に多くの方々のご協力で、想像をはるかに超えて有意義な滞在になったこと、まずは、ありがとうございました。

 

2週間の滞在期間中、寝食を共にすることも多く、接している中でなるほどと思うことが多々ありました。史上初のベーシックインカムの国民投票を実現するというのは、最初のインスピレーションだけじゃなく、本当に考えつくされたプロセスを歩んできたのだと理解できました。彼のキャンペーンの基本方針を聴いたなりにまとめると、

 

・ひとつの至高の目標を掲げて、他のことと混ぜない。

・最高の価値を最高に美しく表現する。感情的にではなく。

・結論を言わない。良い問いを投げかけて深く考えることを促す。

・何も攻撃しない。

・恐れをもたない。

 

中でも、一番面白いと思ったのは、

「意識を向けるとそこがエネルギーをもつ。貧困をなくそうっていうと貧困は増える。カネモチがけしからんというとカネモチが力をもつ。だから、そこに視点を向けるんじゃなくて、至高の価値に意識をおく」

 

ディスカッションに参加する中で改めて理解したのは、ベーシックインカムが実現した社会というのは、個人の意識、価値観、生き方から家族、社会のありかたまで根本から全部変わるということ。それは間違いなく今よりよりヒューマンで素晴らしいものになるにちがいないけど、実際にどうなるかは分からないことばかりだということです。

 

折しも、取引先の社長と会食する機会があって、近況報告がてらベーシックインカムのことを話してみると、いろいろ想像を巡らせて言います。

「もしそうなったら、どれほど素晴らしいだろう。誰もが、おカネを気にしなくて何かに没頭できれば、必ず何かいいものを生み出せる。会社の経営だってどれほどやりやすくなることか」

 

日本では政治の話はある意味タブーになっているので、取引先の人とはなるべく話さない方がよいだろうという配慮が私の中にも多少あります。それが決して良い社会をつくらないことは分かっていてもです。でも、ベーシックインカムをきちんと話題にしてみると、とても深くて有意義な会話になる。シュミットさんの話を聴いて本当に多くの人が、この制度の意味を深く考えだし、多くの人がその素晴らしさに気づき、その実現に真剣に取り組みたいと思い始める。そういう光景を何度も見ることができました。本当に人間性の根幹にかかわるテーマで、深く心の中に響く。それは民族や環境にかかわらずどこに行ってもそうだとシュミットさんは言ってました。まさに人類の普遍的な価値なのです。

 

イタリアの五つ星運動は、eデモクラシーと言われるインターネットでのコミュニケーションと同時に、地域に根差すために、地域社会での口コミをとても重んじています。それはダイレクト・デモクラシーの中で何より重要なことで、とにかく政治的な話がタブー視されがちな日本でも、テーマがベーシックインカムだったら、本当に良いコミュケーションができる。ここから始めるのはとても良いに違いないと思います。そして、そのコミュニケーション・ツールとして、「よい問い」をまとめてみました。

 5 questions 

また、財源論も必ず持ち出されて多くの時間を費やしてしまいました。より簡潔に根本的な理解をえるために、以下もまとめてみました。財源の方法論や、今のシステムからの移行の方法論は、無数にあるので、原則を理解してあれこれ考え話し合うのも素晴らしいことだと思います。

 finance of BI 

 

今回は、特に直接民主制のすばらしさを訴えてほしいとお願いしていましたが、それをまとめる形で東京新聞が素晴らしい記事を書いてくれました。

(2017年5月15日(月)東京新聞22面特報「こちら特報部」より)

Tokyo Newspaper 

 

その他、各地の講演の様子を素晴らしくまとめてくれた人たちも紹介します。

皆さん、本当に最高の時間をありがとうございます。

 

かねがえゆきえさん

外山麻貴さん 外山さんのブログ

鈴木美歌里さん

野々山理恵子さん



イギリス:主要な労働組合連合がUBIを支持

昨年9月のBIENの記事を全訳しました。これまでほとんどの労働組合はベーシックインカムに対して反対してきましたが、これはまさに大転換です。この動きに呼応するようにイギリス労働党も次回総選挙に向けてベーシックインカムをマニフェストに盛り込む方向で動き出しています。


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イギリスで約600万人の労働者を代表する労働組合の連合であるトレード・ユニオン・コングレスは、ベーシックインカムを支持する提議を可決した。

 

これまでベーシックインカム・ニュースで発表されたように、トレード・ユニオン・コングレス(TUC)は、911日から14日まで開催された第148回年次総会でユニバーサル・ベーシックインカムを支持する旨の議決を行った。

 

TUCは英国の労働組合の連合体であり、現在51の組合と合計580万人の労働者を代表している。

 

UBIの成功した提議の全文は次のとおり。

 

ユニバーサル・ベーシックインカム

 

コングレスは、「ユニバーサル・ベーシックインカム」の考えの人気が高まり、さまざまなモデルが世界中で議論されていることを指摘する。コングレスは、貧困と不平等に取り組む一環として、人々を対象とした現代社会保障制度の再構築の必要性を認識している。

コングレスは、TUCが、包括的な公的サービスと育児支給を補完して支払われるユニバーサル・ベーシックインカム・システムのベースを組み込んだ漸進的な制度を主張すべきだと考えている。

コングレスは、このようなシステムは、ますます懲罰的で受給者に批判的に使われている現行のシステムよりも、管理が容易で人々を案内しやすいと考えている。制裁の実施は些細な理由で人々を貧困に追いやる。

コングレスは、住宅危機が解消されるまで住宅コストの高い低所得者を支援するための補助給付が必要であり、障害者には常に補給給付が必要であると認識している。

現在のシステムからこれらの原則を組み込んだ新しいシステムへの移行では低所得者がにより良くなるべきだ。

コングレスは、私たちの社会保障制度は、強い労働組合や雇用権、確実で相当かつ適正な賃金労働という私たちのアジェンダと並行して機能しなければならないと考えている。

 

この運動は、711日にベーシックインカムを支持する動きを受けたイギリス最大の単組であるユナイトによってTUCに導入された。

 

ユニゾンと地域部門委員会で成功した運動を担ったユナイトのメンバーであるベッカ・キークパトリックは、TUCの決定について言った。

 

この重要な決定は、UBIの望ましいレベル、資金調達の仕方、そしてそれが進歩的であることを保証するための追加の政策についての組合間の議論の始まりにすぎません。しかし、最も重要なことに、働く人々が会議室で運動を通過させることで大きな社会の変化をおこすことはこれまでにありませんでした。私たちは、私たちの望むベーシックインカムの本質、未来の本質を見いだすために、強力な運動を組織して構築しなければなりません。


原文は

http://basicincome.org/news/2016/09/uk-major-trade-union-federation-endorses-ubi/

欧州議会、ベーシックインカムの検討を促す提案を拒否

BIENの記事の全訳です。否決されたものの欧州議会でベーシックインカムを支持する人がこれほど増えているというのは画期的です。あと少し。


オートメーションの影響に対処するための20172月の投票で、欧州議会はベーシックインカムの検討を推奨する提案を拒絶した。


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これまでベーシックインカム・ニュースでに報道されているように、欧州議会の法務委員会は、人工知能とロボット技術の規制、経済的および社会的影響に関する報告を含む草案を作成した。

 

欧州委員会に対する他の多くの提言の中で、その報告は「ロボット工学とAIの労働市場への影響の可能性に照らして、一般的なベーシックインカムを真剣に検討すべきである」と述べ、すべてのEU加盟国がそうすべきとした。同報告書を執筆したルクセンブルグ選出の欧州議会(MEP)の社会党議員であるマディ・デルヴォーは、個人的にはユニバーサル・ベーシックインカムを支持していると述べている。しかし、この報告書は、それを裏付けるものではなく、検討することを提案しただけである。

 

欧州議会は、2017216日に法務委員会の報告書に投票した。この投票は、技術政策に関して欧州委員会に提出される勧告を決定した。

 

ベーシックインカムを「真剣に検討する」という勧告は、最終報告書に含めることを拒否され、328人の議員が勧告に反対し、286人のMEPが支持、8人が投票を棄権した。

 

無条件ベーシックインカム・ヨーロッパ(UBIE)副議長のダニエル・フェアは、その結果によって落胆したが、希望の光を見た。

 

保守党と自由党は、基本的な収入に関するオープンな議論を恐れているように見えるのは恥ずかしいことです。ポジティブな面では、議員のマディ・デルヴォー氏がこの問題を提起し、欧州議会でのベーシックインカムに関する最初の真剣な議論を呼び起こしたことに感謝しています。この報告書を担当する欧州議会の法務委員会は、草案の文章においてユニバーサル・ベーシックインカムを支持しました。投票は氏名点呼で行われたので、私たちは提案を支持した人物を知っており、これは将来的にロビー活動のためのより強力な基盤になります。ベーシックインカムの議論を確実に進めていきます!

 

検討のために提起され議論の的になった他の論議的な勧告には、ロボットによって行われた作業に対する課税も含まれ、これも否決された(302288、棄権22)。

 

EurActiv.comによると、「議員の過半数は、議論の余地がある税金の導入について議論する代わりに、報告書に含まれる主な要素の1つである責任問題について、この段階で焦点を当てたがっている。 立法者は、ユニバーサル・ベーシックインカムの代わりに、新しい雇用への移行を促進するための支援プログラムに賛成した」。


原文は

http://basicincome.org/news/2017/02/european-parliament-rejects-proposal-encourage-considertation-basic-income/

国民投票のすばらしさ


昨年の6月、国民投票を見にスイスのバーゼルに行きました。投票日にはパーティがあって、エノ・シュミットさんが招待してくれるというので日本酒をもっていきました。

 

私は日本の選挙については自分で出たことも含めて一時期いやというほど直接的に関与してきました。だからその世界は本当によく知っているつもりで、もちろん負けた候補者の事務所の重苦しく悲しい空気も何度となく味わっています。

 

ご存知のように史上初のベーシックインカムの国民投票の結果は世界に配信されたとおり賛成が約23%で否決されました。その結果は事前の予想よりやや良かったものの、否決されたことには変わりありません。だからそこには私の経験の中にある敗れた選挙事務所の空気が漂っていて不思議はないのです。

 

当日、事務所周辺には朝からテレビカメラや記者がたくさん集まり、となりの広場には飾り付けが施され、出店が並んでにぎやかです。木陰に輪になって座ってこの国民投票について皆で討論もしています。私は広場にだされた椅子に腰かけてたまたま隣り合わせた女性に声を掛けてみました。

「みんな最初は彼らは火星から来たの?って言ってました。それぐらいとんでもないイニシアチブだと思っていたんだけど、ダニエル・ハニのチームはプレゼンテーションがとても上手で、やがてよく考えれると決して不可能なことじゃないって思い始めました。そして今ではたくさんの人がしっかり理解しています。投票の結果はどうであれ、今日は歴史的な日だからこうやって会場に来たの」

 

しばらくして開票が始まり、州ごとの得票が発表されるにつれて歓声があがります。通りでは弦楽器で重奏している人たちや大道芸人もいて、集まった人にはシャンパンが無料でふるまわれます。やがて全体の投票結果が判明すると、拠点となったカフェに大きく数字が張り出され、紙吹雪が飛ぶ中で大きな歓声と拍手がおこりました。バーゼルの街全体が温かい祝福の空気に包まれている気がしました。

 



そもそもこのイニシアチブはエノ・シュミットさんとダニエル・ハニさんが2人で始めたのです。まずベーシックインカムに関するしっかりとした映画をつくり、それが多くの共感をよび、草の根からたくさんの寄付が集まり、キャンペーンが大きく広がっていきました。そして、10万人の署名を集めて政府に提出するときには、スイスの人口にあわせた800万枚の金貨を国会前の広場に敷いてアピールし、国民投票の直前には、ジュネーブの広場でギネスブックに登録された世界で一番大きいポスターを掲げます。そこに書かれたのは

WHAT WOULD YOU DO IF YOUR INCOME WERE TAKEN CARE OF?(もし収入が保障されたら、あなたは何をしますか?) 同じメッセージは世界をカバーするようにベルリンのブランデンブルグ門の前の大通りやニューヨークのタイムズスクエアの電光掲示板に掲げられました。サイズが世界一なだけじゃなく、テーマも一番大きいのです。

 


私が初めてバーゼルを訪れてシュミットさんの話を聞いたのはちょうどパリで大きなテロがあった日でした。一人の国民が奮起したら憲法が改良できる社会、本当に違う星にいるんじゃないかという感覚に包まれました。その中で、普通の市民たちが、しっかりと長期的展望にたって、着実な地歩を歩んでいく。人間の歴史の中で徐々に普及していった普通選挙や女性参政権、社会保障の整備、そういう社会の進歩の延長線上として、おカネのための労働が必須の世界からの解放に向けて着実な歩を進めていく。もちろん一筋縄で行くはずなどないのだけど、それは真の人間性の充足のために必ずたどり着く道だし、社会はそう進化ししなければいけない。キャンペーンを見てもわかるように本当にこのプロジェクトには多くの寄付が集まったそうですが、それは決して目先の自分の収入につながるからというわけではなく、将来の世代にいい社会を残そうという人々の思いの結集だと思います。


人を選ぶ選挙というのは、勝つために過度な自己PRや相手を蹴落す言動をしがちですが、大きなテーマで賛否を問う国民投票は特定の人たちの利害と直接結び付きにくいし、何よりも国民が決めて結果責任を国民が負うという清々しさがあります。


一度も国民投票の経験がない日本というのは世界の先進国の中で稀有な存在です。にもかかわらず漠然とネガティブなイメージで報道されがちなのがとても残念ですが、本来、国民投票は、民主主義社会の最終意思決定の手段として、とても良いもの、素晴らしいものだと思います。


私たちの国にとっても、本当にさまざまな問題を抱えてますが、それをひとつひとつ乗り越えて社会を進化させるために、こういう制度が何よりも大事だと思うのです。


スイス フルマネー・イニシアチブに関する連邦内閣の声明文

フルマネー・イニシアチブに対するスイス連邦政府の見解が昨年11月に出ています。その全文を翻訳しました。

スイスではレファレンダムの前に政府と議会が審議して国民の提案に対して賛否を表明します。でも、レファレンダムが法的拘束力を持ち、決めるのは国民なので、公的機関の賛否表明は諮問的なものにすぎません。

ベーシックインカム同様このイニシアチブも当然のごとく公的な機関は拒否を提言しますが、その理由づけがなかなか面白いです。ここからレファレンダムに向けて国民にどう説明して理解してもらうか、近代社会の大転換がかかった大事な活動です。


連邦内閣はフルマネー・イニシアチブの公文書を採択 

 

ベルン、09.11.2016 - 2016119日の閣議で、連邦内閣は、「危機に耐える貨幣:微量準備銀行制度の終焉(フルマネー・イニシアチブ)」という国民イニシアチブの公文書を採択した。それは反論なしにイニシアチブを拒否することを推奨する。イニシアチブは現在の貨幣制度の完全な転換を求めている。もしイニシアチブが認められるなら、スイスはテストされてない改革のモルモットになるだろう。受諾はスイス国立銀行の金融政策を複雑にし、スイス経済に大きなリスクをもたらす。

 

国民イニシアチブはスイスの通貨制度の新しい枠組みを提案している。連邦憲法の新99条はスイス国立銀行(SNB)に貨幣発行の独占権を与える。商業銀行は、現在のように要求払い預金(当座預金口座)によって融資する貸付をもはや与えることができなくなる。このイニシアチブはまた、SNBが政府部門と国民に直接配布することにより、負債のない循環に資金を投入することを規定している。提唱者は、この改革がより安定した銀行と金融システムをもたらすと考えている。

 

連邦内閣は確実な金融セクターの重要性を認めている。しかし、改革が安定化効果をもたらす可能性は低い。スイスはそれを単独で行うことになり、貨幣システムと金融セクターの広範囲で未だ試みられていない変革をもたらすであろう。このような金融制度の根本的な変革は大きなリスクを伴う。さらに、特に転換プロセスの中で金融セクターの激変が予想される。

 

このイニシアチブが要求する債務のない貨幣の創出は、SNBの信頼性を危うくする可能性がある。現在、SNBが流通させる貨幣は、主に通貨準備と金である財務報告書の資産によっている。このイニシアチブを受け入れることは、SNBがもはや資産を売却することでマネーサプライを減らすことが長期的にできる立場でなくなることを意味する。金融政策を実施して物価安定を確保することがより困難になることは別として、SNBは政治的な欲望にもっとさらされるだろう。

 

微量準備銀行制度の改革は、要求払い口座によって融資される貸付が認められなくなるため、銀行の事業範囲を大幅に制限することになる。銀行はこのため、一般により高い他の資金源に頼らなければならないだろう。銀行顧客の支払い取引コストはおそらく上昇するだろう。特に、金利マージン・ビジネスが収益の大部分を占める小規模な銀行はコスト上昇の影響を受ける。他の資金調達源で信用需要をカバーすることが不可能な場合、SNBは銀行に対応するローンを付与しなければならない。したがって、信用取引量の一部はSNBによって集中管理される。

 

連邦内閣は安定した金融センターのための既存の戦略を遵守したいと考えている。近年、バーゼルⅢ基準の調整やシステミックに重要な金融機関(失敗するには大き過ぎる)の要件が大幅に進歩した。預金者保護規定は現在、銀行口座にある顧客資産を100,000スイスフランにまで保護している。さらに、FINMAが銀行の過度のリスクを監督している。

 

したがって連邦内閣は、公文書で、議会が国民と州に対して「危機に耐える貨幣:微量準備銀行制度の終焉(フルマネー・イニシアチブ)」という国民イニシアチブの拒否を提案する。



原文は以下

https://www.admin.ch/gov/en/start/documentation/media-releases.msg-id-64444.html
プロフィール

ささきのコジロー

Author:ささきのコジロー
商社・コンサルタント会社・デベロッパー・環境団体・政党などをわたって会社つくりました。少し物書きもしてるだワン!

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