五つ星運動の感性

成田空港に見送りに行った時に言ってたとおり、イタリア議会が解散されて総選挙が3月4日に行われます。

彼らは2期までだから今回当選してもそれが最後になります。フラカーロさんだけじゃなく今の現職議員が一斉にやめることになるし、若干31才の党首・ディマイオも例外は認められないでしょう。それで大丈夫なのかと質問すると、

「新しい議員も増えるだろうし、まずは彼らに議会での仕事を教えて一緒にやる。そうやって引き継がれていくから大丈夫」

五つ星は比例票で第1党になることは確実でしょうが、議席の1/3が突然小選挙区制に変更され、他の政党が徒党を組んで彼らを潰しに来るのだから政権とるのは簡単ではない。

「どうなっても、自分たちは国民にとってよい法律を提案し続けるだけ。それに他党がどういう対応をするのかは見物だよ。政治の右派左派なんて幻想にすぎなくて、本当は国民に良い政策と悪い政策があるだけなんだ」

来日に先立ってローマのイタリア下院でインタビューをしました。ローマは今回初めてでしたが予想以上にこじんまりとした街でほとんど徒歩でカバーできます。そして、まるで2000年前からの遺跡の中で暮らしているようなところです。「永遠の都」って英語だとエターナル・シティなんだけど、確かにそうだよなって思います。

イタリア下院のモンテチトーリオ宮殿はローマのど真ん中にあって、ヴェネツィア広場やトレビの泉、ローマン・ホリデーのスペイン広場、パンテオンもみな歩いて10分とかからないところにあります。街角に溶け込むようにして立っていて、建物に威圧感もない。

フラカーロさんへのインタビューの中で印象的だったのは、彼がエスタブリッシュメントのもつ特権に対して何の妬みももっていないことでした。

「自分たち以外はできるだけ長く議員を続けようとする。そうやって高い塀の中で生きるから、彼らは人生とは何かを知らない」

もちろん議員報酬の半分はマイクロクレジット基金に寄付しているので、暮らしは普通の人と変わらないし、2期終わったら職を探しなおすことを当然として活動をしています。だからこそ、政治で普通の人の暮らしを良くしないと、仕事の結果がそのまま自分の暮らしに反映するから、短い期間を一生けんめいやるんだと。

「私たちは本当によく勉強したんだ。その結果、ゴールをダイレクト・デモクラシーにすることに決めた。隣のスイスだって、オレゴンやカリフォルニアだって、それはしっかり機能しているから、できないはずがない」

戦後つくられたイタリア憲法では50万人の署名を集めると国会がつくった法律を国民投票にかけて否決することができます。この条項のお陰でイタリアはスイスに次いで国民投票の多い国です。しかし、投票率が50%に満たない場合は国民投票は無効となります。そのため政府は国民投票の際にはなるべく国民の関心を集めないようにする。五つ星のゴールはこの50%ルールを撤廃し、スイスのようにイニシアチブ、国民発議ができるようにすることです。この目標を達成したら運動体としての五つ星は役割を終え解散すると。ダイレクト・デモクラシーの制度が整備されれば、あとは市民が憲法も法律も提案して決めることができるから、代議制の議員の役割はあくまで補完的なものとなります。本来、デモクラシーはその趣旨からして直接民主が基軸であるべき。代議制はそれを補完するだけで、決して唯一の法の決定機関であってはならない。

以下がモンテチトーリオでのフラカーロさんへのインタビューです。


「人々は新しいことを語り合うのが好きだ」とフラカーロさんは言いますが、これは、日本では理解されにくいと思います。ベッペ・グリッロはテレビで政権批判をして干しあげられ、地方でショーをしだしますが、そこでは単に批判をするだけでなく、世界で試されている新しい技術や制度についていつも話題にして提案していた。それを聴いた人々は、政治に対する怒りをもつだけでなく、やがて「新しい世界は可能だ」と考えるようになった。多くの人がそういう確信をもったことが運動が広がる決定的な要因になったに違いないと思います。そしてブログでの呼びかけに応じて各地で社会をよくする提案をしだした。その確信と前向きな姿勢があるから、多少のことがあってもブレずにまっすぐに未来社会の目標に向かって進めるし、国民の支持も下がらないのでしょう。

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