スイス・ナショナル・バンクの声明に対するソブリンマネー・イニシアチブ委員会の回答

原文はこちら

ソブリン・マネー・イニシアチブ委員会

2018年4月24日

ソブリン・マネー・イニシアティブに関するSNBのFAQへの説明

SNBは、2018年3月5日付で「スイスのソブリンマネー・イニシアチブ(Vollgeldinitiative):よくある質問」という文書を公表しています。原文へのリンクはこちらです。

このドキュメントには、誤解に基づいたものや、単に意見に過ぎない情報があります。 ここでの目的は、説明を追加することです。以下では、SNBの文書を再現(切り取って貼り付け)して、私たちの説明を加えます。

 

一般論

SNBはなぜこの政治的議論に初めて関与するのでしょうか?

– SNBが通常、政治課題に関する表明をしないことは事実です。しかし、スイスのソブリンマネー・イニシアチブ(フルマネーイニシアチブ)がスイスの通貨システムを根本的に変え、SNBの新たな任務を創出し、金融政策に直接影響を及ぼすので、ポジションを取ることを決めました。

– 一般的に言えば、SNBは、通貨システムとSNBの法的任務の履行に直接関係する政治的議論については責任を負います。そうした場合、有権者が情報に基づいた意思決定を行えるよう、情報を提供するという義務を負っています。

 

ソブリンマネー・イニシアチブ委員会:

有権者に情報に基づいた決定を下すための情報が提供されるべきであることに絶対的に同意します。ここの目的は、事実と意見を区別し、誤解を訂正することです。

 

なぜSNBはイニシアチブに反対しているのですか?

– SNBは、イニシアチブに対して連邦政府が公文書で表明した懸念を共有します。

 

ソブリンマネー・イニシアチブ委員会:

私たちは、イニシアチブに関する連邦政府の公文書の主要な点に同意しません。私たちの返答はここにあります。

 

– ソブリンマネー・システムの導入は、スイスの金融システムを根本的に変革する不必要な実験になるでしょう。この改革は不確実性と新たなリスクにつながり、銀行の顧客にとってはコストを上昇させるでしょう。

 

ソブリン・マネー・イニシアチブ委員会:

私たちはすでに「慣習的じゃない措置」を規定した中央銀行の巨大な金融の実験の中に住んでいます:20年前に誰がマイナス金利の実現し、SNBが外国企業の株式を何十億ドルも買うと想像したでしょう?世界中の中央銀行家は、プライベートでは、もう一度金融危機が起こるかどうかは問題ではなく、(例えばアナリス・ライルの引用を参照)いつ起こるかが問題だというでしょう。次回は、中央銀行家が対処するツールが少なくなります。たとえば、プラス金利をゼロに下げることはできません。

実際にSNBが不法の水域を航行しているのに、今日の微量準備システムを「試され、テストされた」と呼ぶのは偏った理解になります。皮肉なことに、歴史的には、実際には「試され、テストされた」のは、このソブリンマネー改革だったのです。スイスでは1800年代に銀行が独自の紙幣を印刷することができました。その結果、金融危機と不安定化が生じました。 1891年に、(明らかにスイス政府と議会によって発議された)国民投票があり、民間銀行が紙幣を印刷することを禁止し、SNBがスイス全体の利益のために銀行券を発行することに投票しました。これは再び問題化したことはなく、銀行が再び紙幣を印刷することを許されるべきであるというのは馬鹿げていると思われます。

19世紀の終わりには、ほとんどの人が取引のために紙幣と硬貨を使用しました。現在、取引のためのスイスのマネーサプライの90%は、紙幣や硬貨ではなく電子通貨です。ソブリンマネーの国民投票は、SNBがスイスフランを創造するという承認された考えを銀行の当座預金口座のスイスフランまでカバーするように広げるだけです。

私たちは、ソブリンマネー改革の実施は、現在の「慣習的じゃない措置」の道を続けるよりも、スイスにとってはるかにリスクが低いと確信しています。

銀行顧客のコスト上昇について:

金利がプラスであった場合には、銀行は電子マネーを直接創造して利益を得たのは事実でした(NEFレポートを参照)。ソブリンマネー改革の実施後は、これは「ソブリンマネー」口座ではもはやできなくなります。

しかし、今のようにゼロまたはマイナスの金利では、銀行はもはや通貨の創造から利益を得ません。したがって、今日、ソブリンマネーの導入による金融的な影響はありません。スイスの多くの銀行は、現行の口座サービスの費用をカバーするために手数料を徴収しています。これはソブリンマネー改革後も引き続き可能です。現在と同様に市場の圧力と競争は、銀行が課す金額を抑制するでしょう。

ソブリンマネー改革後は、銀行は金利スプレッドのために貯蓄者と借り手の仲介者としてお金を稼ぐことができます。繰り返しますが、顧客へのコストは競争によって抑えられるでしょう。

 

– さらに、ソブリンマネーへの転換は、中央銀行と商業銀行の間の試行錯誤してきたタスクの分配から必然的に乖離するでしょう。イニシアチブでは、SNBが金融機関による経済への信用供与を保証することが求められています。このような仕事の集中は、SNBを政治的野心にさらすことになるでしょう。

 

ソブリンマネー・イニシアチブ委員会:

SNBは、ソブリンマネーへの切り替え後に銀行の顧客がローンを受けるのに影響を与えないでしょう。それは銀行だけの問題です。銀行は、ローンに先立って貸付可能な資金をもっていなければなりません。 SNBは、銀行が経済に貸し出すために必要な資金を常に確保できるように、銀行に(金利が設定できる)ローンを提供することができます。

さらに、銀行は他の銀行から融資を受けたり、顧客の貯蓄預金を利用したりできます。 SNBが銀行にどの個人客が融資を受けるべきとは言えないし、いかなる銀行にもどんなローンの提供を強いる手段もありません。今でもそうですが、 SNBが設定した金利を引き上げたり下げたりする政治的圧力がある可能性はあります。 SNBは、スイス全体にとっての最大の利益のために行動しなければなりません。

SNBの哲学が変わると言うのは事実です。今日では、それは銀行のための銀行で、最後の貸し手であるというものです。ソブリンマネー改革後は、すべての人に法貨を提供するスイスの人々のための銀行になるでしょう。パラダイムの変化は、「英国銀行学校」という観念から「英国通貨学校」が提案するソブリンマネーの唯一の発行者としての中央銀行の役割に戻ることでしょう。

マネーサプライを創出する機関には力があり、事実、政治的な野心にさらされるかもしれません。株主利益を最大化する義務を負う民間企業ではなく、SNBがこの権限を持っている方が、スイスの人々はより良いサービスを受けられるでしょう。 SNBは、スイス全体の利益のために行動する義務を負っています。

 

– この改革は、金融政策の実施に関しての憲法上の変更を必要とし、それはSNBがその任務を遂行することをより困難にするでしょう。

 

ソブリンマネー・イニシアチブ委員会:

ソブリンマネー改革はSNBのツールキットにより多くのツールを与え、その任務をより簡単に果たすでしょう。 既存のツールは引き続き有効です。

 

– イニシアチブは、特に金融の安定性と紙幣発行特権(「通貨発行権」)に由来する利益に関して、非現実的な期待を高めます。

 

ソブリンマネー・イニシアチブ委員会:

金融の安定性に関しては、明らかにスイス国外で起こることをコントロールすることはできません。世界的な景気後退がある場合、スイスは影響を受けるでしょう。しかし、私たちは、人々のスイスフランが銀行口座で完全に安全であることを確認できます。現時点ではそうではありません。これがイニシアチブの焦点です。今日のシステムの欠点を修正するのではなく、通貨(支払い手段)を安全にして金融システムから独立させることです。

私たちは、SNBが徐々に借金ではない資金を流通させることが賢明であると認識しているので、通貨発行から潜在的に巨額の利益を確保することを特に試みません。

(さらに、8000億フラン以上のバランスシートを見ると、ソブリンマネーとは関係なく将来的に利益分配(2018年:20億フラン)が増えることは明らかです。ソブリンマネー改革の実施日は国民投票から少なくとも2年後となるため、SNBは十分な時間をもって予想設定できます。(注意:SNBは、スイスフランを創造して – 通貨発行の利益を得て – 循環に投入できるし、より少ない利益で循環に貸出すこともできます)。

 

– イニシアチブは通貨政策の実施を複雑にするでしょう。現行制度の下では、通貨政策があまりにも拡大した場合、SNBは金利を引き上げることができます。しかし、ソブリンマネー制度の下で、どのように抑制的な金融政策(すなわち、マネーサプライの削減)が行われるのかは不明です。 SNBは、連邦、州または市民から資金を回収する立場にはほとんどないでしょう。

 

ソブリン・マネー・イニシアチブ委員会:

SNBは、ソブリンマネー改革の後、引続き銀行が借りられる金利を設定できます。これは、今日のケースと同様に、銀行が顧客に提供する金利、そして銀行ローンの需要に影響を与えます。ソブリンマネー改革後は、SNBはスイスフランをつくり、これを循環に投入するか、貸すことができます。SNBが、金利を直接設定できて循環の大半を貸出すという新しい「ツール」について初めて学ぶので、明らかに慎重になるでしょう。提供する金利を上げることによって、提供するよりも多くのローンが返済され、それによって循環する資金が減ります。

さらに、ソブリンマネー・システムの下では、SNBは、今と同じように外貨、有価証券、金その他の資産の購入によって新たな通貨を循環に投入させることができ、いつでも、これらの資産の売却によってマネーサプライを減らすことができます。

時間の経過とともにSNBは、連邦、州または市民に配ることによって循環の投入額を増やすことができますが、これはM1の100%になってはいけません(注:M1は現在約6400億スイスフラン)。たとえば、SNBがマネーサプライM1を半分にしたいという状況を想像することはできません。だから、M1の半分までがこのように循環に費やされることは容易に想像できます(ただし、数ヶ月ではなく年単位で徐々に)。最終的には、SNBが連邦、州または市民から資金を回収する必要があるというリスクがまったくなしに、この数値はさらに上昇する可能性があります。ソブリンマネーの提唱者たちがいつも明言してきたのは、決して取り出す必要のない循環の通貨だけが、借金としてではなく発行されるべきということです。

過去のデータを見てみると、循環している通貨を減らさなければならない年はほとんどなく、それが減った場合は非常に小さな割合しかなかったことがわかります。通常、マネーサプライはGDPの成長をはるかに超えて増加しています。

SNBは、今やっているように、公開市場操作を通じて通貨システムを微調整し続けることができます。

 

– 最後に、イニシアチブの受諾はスイス経済を極度の不確実性の時代に陥らせるでしょう。スイスは、世界のどこでもテストされていない金融システムに切り替えなければなりません。このイニシアチブはわが国の国際競争力を弱めるでしょう。

 

ソブリンマネー・イニシアチブ委員会:

SNBは、ソブリンマネー・システムへの転換直後に、引続き今とまったく同じように通貨システムを計画できると通知できるでしょうー金利ターゲットを設定し、銀行が現在行っているすべてのことを行うために必要な資金を提供します。銀行の視点から見ると、彼らのITシステムは(もう割り当てる資金がないなら)、もっと貸出す前にSNBから資金を「引き出す」必要があります。−今、空から通貨を創造するのとほとんど同じ方法で、コンピューターで数回クリックして。顧客はすぐに変化に気づくことはありません(銀行との契約条件が顧客に有利に変更されて、初めて合法的に自分のお金を「所有する」ことを通知する法的な文書が送られる場合を除いて)。

SNBがこのイニシアチブが「スイスの経済を極度の不確実性の時代に突き落とす」という立場を取ることは間違っており、役に立ちません。 SNBの声明自体が、スイスの金融システムを危険にさらします。もし中央銀行がこうした声明を出すなら、それは、自己実現的な預言になる可能性があります。

 

通貨政策

イニシアチブは、SNBにより多くの権限を付与します。なぜそれ以上の責任を取ることを望まないのですか?

– 中央銀行の任務は現実的に策定されなければなりません。中央銀行はまた、その任務を果たすために適切な手段を必要とします。SNBの場合、これら両方の条件が現行のシステムで満たされています。しかし、スイスのソブリンマネー・イニシアチブは、経済の中央操縦機関に追加的な任務を課します。これは、SNBの任務の中核要素である物価安定の確保を危うくします。

 

SNBは、現在、物価の安定を確保するだけでなく、金融システムの安定に貢献する義務を負っています。専門家は、金融システムは安定しておらず、問題は次の金融危機が起こるかどうかではなく、いつ起きるかだということに同意します。さらに、専門家が問うのは、失敗するには大きすぎる銀行をどう管理するかではなく、救うには大きすぎたら、何をすべきかということです。現在のシステムでは、いくつかの大手銀行が困難に陥る金融危機を想像することは、あり得ないことではありません。もしそれが起これば、SNBは、キャッシュレス決済システムの機能を促進して確かなものにするという課題に奮闘するでしょう。ソブリンマネー・システムは、金融危機の中でも取引が継続できるようにします。ソブリンマネー・システムでは、よく機能する金融システムへ依存が大きく減ります。

ソブリンマネー改革後、SNBの仕事は経済の中心的な舵取り機関として機能するという説明は間違っています。 SNBは単純にエクストラなツールをもちます:どれくらいの通貨が循環に貸出されるかと比べてどれくらいの通貨が循環に投入されるべきか。前述したように、(現在のように)大部分を循環に資金を貸出し、ゆっくりと、どうやって循環に通貨を投入するかを学ぶことから始めることを提唱します。

 

ソブリンマネー・システムは、SNBがその任務を果たすことを容易にしますか?より困難にしますか?

– スイスのソブリン・マネー・イニシアティブを受諾することは、SNBが金融政策の義務を履行することをより困難にするでしょう。今日、SNBには、自由に駆使できる幅広く適切な手段が用意されており、柔軟に展開することができます。

 

ソブリンマネー・イニシアチブ委員会:

私たちは根本的に同意しません – 上記の点を参照してください。

 

– イニシアチブでは、SNBが一元的にマネーサプライを統制することを提案しています。イニシアチブの支持者が信じている改革は、システムをより簡単にコントロールできるだろうと。しかし、SNBは現在の制度の下でマネーサプライをとてもよく操作することができます。例えば、適切な条件を確保するために過去数年間に展開された金融政策措置により、スイスは信用収縮を免れました。

– ソブリン・マネー・システムは、金利ターゲティングからマネタリー・ターゲティングへの移行をもたらします。しかし、金利ターゲティングは、SNBが2000年以来追求してきた金融政策の重要な要素です。マネタリー・ターゲティングへの回帰は、SNBの視点としては、不必要かつ退行的なステップになるでしょう。

 

ソブリンマネー・イニシアチブ委員会:

これは重要な誤解です。 ソブリンマネー改革の後、SNBは金利ターゲットからマネーサプライ・ターゲットまで完全な柔軟性をもちます。詳細はは、ポジティブ・マネーが発行した「ソブリン・マネー・システムは十分柔軟であるか? 」を参照ください。 SNBが引き続き金利ターゲットという政策を続けることは絶対的に可能です。

 

銀行システムと顧客

今日の銀行は、ローンの提供によって通貨を作り出すことができます。 SNBは銀行がこの特権を享受すべきだと考えていますか?

– 銀行が融資を行うことによって通貨(預金)を創出できるのは間違いありませんが、制約なしではありません。銀行がローンを提供するとき、その金額を借り手の口座にクレジットします。銀行は、バランスシートの資産側に債券、借り手の負債側に相対する債務(預金)をもちます(バランスシートの拡大)。この債務を通じて、預金という形式で通貨が創造されます。

– 個々の銀行は、支払取引がこれらの預金の流出になるから、預金の持続的な増加を保証するためにローンを提供することはできません。ただし、これらの預金は別の銀行の口座に振り込まれるため、銀行システム内に残ります。

 

ソブリンマネー・イニシアチブ委員会:

ソブリンマネー・イニシアチブを導入するという活動を開始してから、SNBがどのように通貨が循環にやってくるかの説明を変えたのは嬉しいことです。正しくないマルチプライヤー通貨モデルから、銀行がローンを提供することで通貨を創造するという正しい説明に変えたのです。

SNBが回答していない質問は、なぜ経済の中で銀行だけが唯一通貨を創造することを許されたプレイヤーで、それ以外の全員が、使う前に資金を探さなければならないかということです。

 

– 銀行の通貨創造の供給力は、現行制度の下ですでに制限されています。

  • ローンは、顧客の需要に対応してのみ提供され、経済発展と投資プロジェクトの収益性に依存しています。したがって、銀行は、より高い貸出量がより大きなリスクを伴い、銀行の収益性を危うくする可能性があるので、無制限のローンの提供はしません。
  • 金利政策を通じて、SNBは総貸付つまり預金の創造に大きな影響を及ぼします。金利の上昇は、信用需要の低下につながり、したがって通貨を創出する可能性も減ります。金利引き下げの場合、その逆は真です。
  • 銀行による通貨創造は、規制の枠組み、特に資本と流動性の要件によっても制約を受けます。

 

ソブリンマネー・イニシアチブ委員会:

専門家は、金利が信用需要のための効果的なツールであると信じるのと、人間の心理が信用需要にもっと強い影響があると信じるのに分かれています。良い時の「非合理な誇張」と悪い時の悲観主義。

通貨創造は、規制の枠組みによって制約されることはほとんどありません。次のバーゼル・ルールが出てくるまでは大手銀行はいつもどうやって抜け道を通るかを研究しています。

 

銀行の貸出活動はどのような経済機能を果たしますか?

– 銀行のバランスシートには、通常、資産サイドのローンのような比較的非流動性の長期的な債権と、負債サイドの要求払い預金などの比較的流動性のある短期債務が含まれています。 預金者は安全で容易に利用可能な預金を求める一方、投資家は非流動性の傾向があるプロジェクトの資金調達のために長期ローンが必要です。そのため、銀行は流動性と満期の転換に取り組み、預金者と投資家の多様な要件を仲介します。

– したがって、銀行は信用リスクと流動性リスクの両方を負います。預金者や借り手の数が多いため、これらのリスクは多様化できます。さらに、銀行は、借り手をより評価して監視できる点で、個人預金者よりも有利です。また、資本市場で資金を調達したり、銀行なしでプロジェクトの資金調達ができない家計や中小企業といった経済パートへの融資へのアクセスも開きます。

– 現行の制度では、銀行は預金よりも高い貸付利息を課します。しかし、これはリスクのない利益と同義ではありません。金利スプレッドは、想定される信用リスクと流動性リスク、顧客の預金関連のサービス、借り手の評価と監視を銀行に補償します。

 

ソブリンマネー・イニシアチブ委員会:

現在のシステムで銀行が貯金者と貸し手との仲介者であるという考え方は間違っていますが、ソブリンマネー改革後は、銀行はちょうどそれになって、貯金者と借りての金利スプレッドで利益を得て、想定されるリスクのコスト、顧客サービス、借り手の評価とモニタリングをまかないます。

彼らはまた、顧客の現在の口座を管理するための手数料を(今のように)請求します。

ソブリンマネー改革後、顧客が当座預金で通貨を所有するので、銀行は即座な流動性リスクはなくなります。でも、(期限付口座の)貯金者は、期末に通貨を受け取ることができます。銀行がこの資金調達ができないなら、SNBから資金を借りなければなりません(現在のレートで)。

 

ソブリンマネー・システムの下では、銀行の顧客のコストが上がりますか?下がりますか?

– それは2つの理由から上がるでしょう。 まず、ソブリンマネーの口座には利息が支払われません。 しかし、銀行は引き続き支払取引のサービスを提供しなければならず、これらのコストを顧客に転嫁するでしょう。

 

ソブリン・マネー・イニシアチブ委員会:

手数料はそれほど高くならないでしょう。 状況は今日の状況とまったく同じで、マイナス金利制度では当座預金に金利は支払われません。

 

– 第二に、信用供給はタイトになり、より変動するので、より高価になるでしょう。したがって、家計が支払う担保ローンの利息は上がるでしょう。

 

ソブリンマネー・イニシアチブ委員会:

SNBは(今のように)ターゲット金利を決めることができるので、今日の状況から、変化はありません。でも、彼らはマネーサプライをターゲットとすることができます。この場合、上の記述は真実です。 彼らはどちらかを行う柔軟性をもちますが、スイス全体の利益のために行動しなければなりません。

 

SNBは、金融システムの安定に貢献する法的任務があります。イニシアチブの支持者は、ソブリンマネーが銀行の破綻を防ぎ、金融安定を強化すると主張しています。この観点から、ソブリン・マネーは有益ではないでしょうか?

 

ソブリンマネー・イニシアチブ委員会:

ソブリンマネーは銀行の倒産を防ぐと主張しているのではなく、むしろ逆で、他の不十分なパフォーマンスの民間企業と同じように倒産できるようになるべきですが、それが、今のシステムのように経済に壊滅的な影響を与えるべきではありません。

 

– 銀行が貸出資金に使える要求払い預金をもはや持っていない場合、銀行貸出を少なくするか、または銀行間金融市場など安定性の低い他の資金源を探すでしょう。しかし、銀行間金融マーケットを通じた銀行融資は、グローバル金融危機の中で特に脆弱であることが判明しました。闇銀行もまた、融資の資金調達においてより大きな役割を果たせるでしょう。

 

ソブリンマネー・イニシアチブ委員会:

ソブリンマネー改革後、銀行はSNBから資金を借りることができます。これは、SNBがそれを選択するのと同等に安定的です。すべてのビジネス(金融、銀行、シャドーバンクなど)は、貸出す前にまずソブリンマネーを確保する必要があります。- このイニシアチブは、主要な金融安定問題を解決するものではありません。ソブリンマネーは、銀行の流動性や支払い能力のリスクを取り除くものではなく、「失敗するには大きすぎる」問題を解決するものでもありません。この点で、金融危機以降にとられた資本要件およびその他の規制措置がより効果的です。

 

– このイニシアチブは、主要な金融安定問題を解決するものではありません。ソブリンマネーは、銀行の流動性や支払い能力のリスクを取り除くものではなく、「失敗するには大きすぎる」問題を解決するものでもありません。この点で、金融危機以降にとられた資本要件およびその他の規制措置がより効果的です。

 

ソブリンマネー・イニシアチブ委員会:

ソブリンマネー・イニシアティブは金融安定の問題を解決することが目的ではありませんが、万が一金融危機が発生した場合でも、当座預金が完全に安全で、経済の正常な取引が危険にさらされることはありません。さらにソブリンマネー改革は:

・ソブリンマネー口座が「流動性」を確保するので、流動性リスクは解決します。要求があった場合に貯金者に返済するのに、銀行はSNBから資金を借りることができます。

・銀行が与信供与の際に不十分な決定をして支払い能力の問題に陥ると、他のビジネスと同様に破産することができます(でもソブリンマネー口座は完全に安全です)。

・だから「失敗するには大きすぎる」問題は解決されます:全国の決済システムの停止などのダイレクトな結果なしに銀行は倒産できます。

我々は、現在の規制措置は、大手銀行が抜け道を探せる点と、コンプライアンスのコストが急上昇しているという点で経済にとって悪いと考えています。これは、小規模の銀行に負担となり、長期的には銀行業界での統合が進み、銀行のマネージャーとの良好な関係で生き残っている中小企業が銀行セクターから受けるサービスが減るでしょう。

 

– ソブリンマネー・システムは、不動産や金融投資における信用サイクルや資産バブルを防ぐことはできません。貸出はそのような資産バブルを強化するかもしれませんが、原因ではありません。資産バブルと信用サイクルは、主に誇張された期待価格とリスクを過小評価する傾向が原因です。

 

ソブリンマネー・イニシアチブ委員会:

それでもソブリンマネー改革後に万が一危機が起こった場合、人々の口座にある通貨は、絶対に安全です。口座は銀行ではなく、所有者に帰属するからです。

信用リスクの判断を誤った銀行(または他の機関)は、実体経済に致命的な悪影響を及ぼさずに、苦しむか失業する可能性があります。

ソブリン・マネーは銀行破綻を防がず、よって金融の安定性を強化しない?

– 現在のシステムでは、銀行は顧客の要求払い預金(商業銀行での預金)をいつでも中央銀行の通貨に変換すると約束しています。しかし、顧客の預金量は実際には銀行がもつ紙幣およびSNBにある要求払い預金の量よりも多い。これは一般的に問題ではありません。なぜなら、すべての顧客が同時にお金を引き出すことはほとんどないからです。だから、銀行は短期の要求払い預金を通じて長期ローンの資金を調達することができます。

– すべての顧客が一度に自分のお金を引き出したいという状況を、銀行破綻と呼びます。関係する銀行は、たとえ支払い能力があっても現金を用意できない可能性があります。

  • 銀行破綻はとても稀であり、SNBは現金を用意できない銀行に追加で中央銀行の通貨を貸し出すことで防ぐことができます。
  • ソブリンマネー・システムは、あらゆる形態の銀行破綻をなくすることはできないでしょう。ソブリンマネーが要求払い預金の銀行破綻を防ぐことができるのは、要求払い預金がすべて中央銀行の通貨でしかないからです。
  • しかし、顧客が要求払い預金を現金に変換しただけで銀行破綻が怒るのではありません。顧客は、定期預金や貯蓄預金などの短期貯蓄を引き出す可能性もあります。銀行はこのような短期債務をソブリンマネー・システムに保有することができ、例えば、3ヶ月の通知期間を設けて貯蓄預金を使って10年の担保ローンを融資することができます。すべての顧客または多くの顧客が同時に貯蓄口座を閉鎖した場合、その結果は従来の銀行破綻に似ています。
  • 定期預金と貯蓄預金の破綻は、ソブリンマネー・システムではより簡単に起こるので、より頻繁に起こる可能性があります。今日の顧客は、銀行破綻の際に貯蓄を現金に変換しなければなりませんが、ソブリンマネー・システムの下では、中央銀行の資金に裏打ちされた要求払い預金にマウスのクリックで電子的に移行することができます。リスク感情に応じて、投資家は貯蓄預金と定期預金を要求払い預金に再配分、逆もまた同様でしょう。これにより、ソブリンマネーとクレジット・ファイナンシングの需要はより変動します。

 

ソブリンマネー・イニシアチブ委員会:

ソブリンマネー・イニシアチブの意図は、銀行破綻が起こらないようにすることではなく、人々の当座預金(つまり要求払い預金)のスイスフランを完全に安全にすることです。

しかし、上記でSNBがいうように、ソブリンマネー・システムのもとでは、銀行破綻が起こりえません。貯蓄口座での破綻(貯金者が貯蓄をソブリンマネー・アカウントに変換した場合)は、銀行がSNBからソブリンマネーを借りない時にだけ起こります。貯蓄口座にはSNBによって設定された最低限の期間があるので、潜在的な銀行破綻は「スローモーション」で起こり、銀行がSNBから十分なソブリンマネーを借り入れるのに十分な時間を与えます。

銀行が(流動性の問題ではなく)支払い能力の問題に向かう場合、貯蓄の破綻の可能性はあり、貯金者が自分のお金を失うかも知れません。パフォーマンスの低いプライベートビジネスが失敗するという事実は、私たちの資本主義システムの一部です。貯蓄口座にお金を入れている人は、自分の資金をリスクにさらします(知っての上で、自由意志から)。それは貯蓄口座での金利収入で補われます。

銀行は、Esisuisseのような保険制度に加入して、顧客が貯蓄口座に資金を入れることを奨励したいと思うかもしれません。

 

通貨発行権

ソブリン・マネーとは、通貨発行権が完全に一般公衆、つまり州と市民に配布されることを意味します。それのどこが悪いのですか?

– すでに今日の2層システムで、通貨発行の大部分はSNBがおこしています。SNBは、紙幣発行特権のおかげで通貨発行から利益を得ており、循環内の銀行券や要求払い預金を通じてとても好条件で資産を貸出し、こうした資産は収益をもたらします。

– イニシアチブの支持者は、SNBが連邦と州に追加で50〜100億スイスフランを支払うことができると考えています。彼らは、ソブリンマネー・システムの下での通貨発行は、はるかに多額の中央銀行の通貨がベースになると主張しています。

– しかし、ソブリンマネーの公的需要がどれほどあるか、だから、どれくらいの中央銀行の通貨があるかを見積もることは困難です。それはシステムに根本的な変更を伴うので、顧客が今ある商業銀行の要求払い預金をソブリンマネーとして保持するとは仮定できません。特に、金利を産まないとした場合。

– さらに、SNBの利益機会は減少するでしょう。 SNBは現在、その資産で収入を得て、それを配当を通じて連邦と州に渡します。成長する経済はより多くの資金を必要とするので、現在のシステムの下では、SNBの負債項目(特に、銀行の要求払い預金と循環内の銀行券)と資産項目(外貨投資またはレポ・バランス)は増え続けます。

– SNBが「債務としてではなく」循環に資金を投入した場合、それは外国為替を購入することなく、またはレポ取引により流動性を高めることなしにであれば、現金負債項目は増加し、株式負債項目は縮小します。そして、最終的にはある時点でマイナスになるでしょう。資産はもはや増加せず、SNBの利益を産む力を損ないます。

 

ソブリンマネー・イニシアチブ委員会:

現在、取引のためのマネーサプライのわずか10%がSNBによって提供されています。これは経済に貸出すか投入するかです。 経済に通貨を投入する利益は一度きりで、通貨の額面の金額(特に新造に値する少ない製造コスト)であり、経済に貸出す通貨の利益(つまり支払い利息)は、より少ないものの継続します。

ソブリンマネー改革後は、マネーサプライの100%、今の10倍がSNBによって提供されます。これが貸されるにせよ投入されるにせよ、分配する利益が今より減るという次の数十年のシナリオを想定することは困難です。

ソブリンマネー改革後、SNBは資産(つまり外貨投資またはレポ・バランス)を保持し続けることができます。

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