五つ星運動のオンラインプラットフォーム「ルソー」

マスメディアでは決して取り上げない「ルソー」について概要をまとめたいと思います。

2017年11月にリカルド・フラカーロ氏の来日講演のプレゼン資料をベースにします。

 

 

まずは五つ星運動がどのように候補者を選んでいるのかの例です。これは少し古いのですが、2014年の欧州議会選挙のもの。当時メンバーは9万人近くいましたが、もちろんメンバーは誰でも立候補できて、この時は何と5000人以上、全体の5%以上が名乗り出ていることになります。そして予備選挙の投票結果として73名の候補者が選ばれ、その中から実際の選挙を経て15名が欧州議会議員に当選しています。もちろん、国内の地方選挙から国政まですべてこのようにして行われます。選挙が比例代表中心なこともあって、選挙にはほとんどお金がかかっていないことも特筆すべきことです。フラカーロ氏は最初の選挙で数百ユーロしか使わなかったと言ってました。また、こうしてネット予備選挙で選ばれる人たちというのは、わざわざ割当をつくらなくても半数以上が女性になり、他の政党と比べるとやや高学歴になると。フラカーロ氏だけでなく、党首のディマイオ氏や、ローマ市長のラッジ氏などに共通しているのは、決してエリートと呼ばれるキャリアではないものの、若くて、よく勉強していて、誠実さがにじんでくる人柄で、演説がとても上手です。そして任期が2期までと決まっているのだから、常に新しい人材が議会に投入されていきます。

彼らは政策をプログラムと読んでいて、これもプラットフォームの話合いの中で決められます。2018年の総選挙では、こうして議論を重ねた結果20項目を主要政策として公表して選挙をしています。イタリアでいちばんの問題は特に若年層の貧困や失業であり、当然、それを解決することが最重要政策となり、所得保障やベーシックインカムを実現しようとしています。今回の同盟との連立も、政策の実現ありきで、ポストではなく政策協定を最優先として政権を樹立しました。


選挙で選ばれた後は、議員は議会の仕事を逐一報告し、メンバーと対応を話合います。ルソーで決まった方針には議員は従わなければなりません。また、メンバーは法律を提案することもできて、ルソー内で合意されれば実際にそれが議会に提出されます。ルソー内では膨大な量のコメントや提案が常に行われています。

この他に、eラーニングのシステムなど、アプリケーションはまだまだあります。

そして資金調達ですが、

これは最初の国政選挙の時に集めた資金。77万ユーロの寄付が集まったのにおよそ半分の35万しか使わず、残りは地震で壊れた学校に寄付をしてしまったというものです。使った資金の少なさに驚くだけでなく、使い方についても、日本だったら余った資金は今後の運営費にまわしたり、次の機会のためにプールしておくというのがお決まりですが、そんなことはしない。

議員報酬も同様で、五つ星はもともと議員報酬は国民の平均年収であるべきと主張していました。実際に選挙に出て議員になったら返納の手段がないので、マイクロクレジットの基金を作って報酬の半額をそこに寄付しています。運営に充ててはいないのです。基金から一般の人々小口の無担保融資を行なっていて、融資の件数は数千件になっています。

五つ星の運営は寄付で行われていますが、決して大口の献金に依存せず個人のマイクロ・ドネーションによってます。また、政党助成金も反対という立場を取っているので受け取りを拒否しています。今回の総選挙で議席が倍増していることを考慮すると受け取り拒否している額は年間100億円近いと推察されます。

この徹底したクリーンさはどこから来るのだろう?とずっと不思議な気持ちでいたのですが、その答えを今井佐緒里さんの記事に見つけました。

この運動は2009年10月4日、イタリアの守護聖人である聖フランチェスコの日に始まっています。

 

「グリッロは、アッシジの聖フランチェスコを意識している面があった。ブログに「五つ星運動と聖フランチェスコは、たくさんの類似点があります」と書いていた。「聖フランチェスコは、エコロジストで動物の聖人で、教会の再生に励ましを与えながら、秩序をつくりだしました。お金なしで」「彼は運動にふさわしい聖人でした。公的献金もないし、本部もないし、会計係もないし、リーダーもないのですから」。
だから、この聖人の日に、五つ星運動を設立したのだ、と語っている。」

 

イタリア:五つ星運動と同盟の極右連立政権にみる欧州の苦悩 移民問題であなたは人権を語る資格があるか

 

アッシジの聖フランチェスコ聖堂

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