革命は進化している  その1

歴史をよく見ると、革命という言葉の実態はテロリズムとさして変わらないものだった。この言葉には暴力の匂いがこびりついてしまっている。

振り返えると1年でローマに4回も通っていました。
その目的は、2016年にサン・セバスティアンで行われたグローバル・フォーラム・オン・モダン・ダイレクト・デモクラシーでのプレゼンに衝撃を受けた五つ星運動のリカルド・フラカーロ氏を日本に招くこと。そしてその次は、創設者のベッペ・グリッロを。

秘書との打ち合わせの中で、
「ベッペは日本で知られていますか?」
「いいえ。残念ながら誰も知りません」
彼のことを端的に説明するものが必要だと思って1枚のペーパーをつくりました。

 

次に、短い動画に字幕をつけようと思いました。残念ながらイタリア語が分からないので、雰囲気で探すしかない。よさそうなのを拾って言葉ができる友人に見てもらったら、素晴らしいと言って字幕をつけてくれました。

動画の中には、こんな言葉が散りばめられています。

窓も扉も閉ざされていると思っていた
出口はどこにもなかった

実はたくさんの人たちが同じ気持ちだったんだ
同じ考え、同じ希望、同じ不安をもっていた

僕らの扉を閉じていたのは
僕ら自身だったということに気づいたんだ

今イタリアに起ころうとしていることは
近代デモラクシーの歴史で一度も起こったことがない
民主的な革命
非暴力で権力を根絶する
ピラミッドをひっくり返す

リカルドは口癖のように「政権をとる」という人でした。それを実現し、さらに自分の肩書を自分でつくった。それが世界初のダイレクトデモクラシー担当大臣。当初、グローバル・フォーラムは、サンセバスティアンの次は翌年トリノで開催される予定でした。それを1年延期し、選挙が終わってからローマで開催した。これも彼がやったことでしょう。

フォーラム3日目の朝、早く会場に到着して前の方でビデオのセッティングをしていると、リカルドが現れて最前列に座り、くるりと振り返って私の手を強く握りました。
その前夜、五つ星の公約である最低所得保障実現のために財政赤字を拡大することを閣議決定したことが大きく報じられました。この政策はベーシックインカムとも呼ばれていて、「貧困のない社会をつくる」という彼らの大きな目標の第一歩になります。

今の社会でこれ以上大事なことを私は知りません。

そしてフォーラムの最終日、リカルドは直接民主条項を盛り込んだ憲法改定案を国会に提出した事を報告しました。そして、次いで登壇した副首相のディマイオによると、リカルドが提出した改定案には、なんと国会議員を350名減らすという事も盛り込まれていると。およそ半減です。

彼らは、日本ではおよそ想像すらできないドラスティックなアクションをとって、目標の実現に着実に向かっている。そのダイナミズムにじかに触れ、涙がでてきました。

リカルドとは、レセプションの時に2人で話し込めたので、憲法改定の目処をききました。イタリアは日本と少し違って国会の過半数の承認で国民投票が実施されますが、2/3以上の賛成をえた場合、国民投票なしで憲法が変わります。どちらになるかは今のところわからないけど、超党派、国民的な議論を経て来年の春頃には結果が出るだろうと。それが実現すれば、イタリアもスイスのようになります。一般法で50万、憲法で80万の署名を集めれば、イニシアチブを起こすことができて、その提案を直接法的拘束力を持った国民投票で決めることができるようになる。そして、これまでイタリアで大きな問題だった国民投票の定足率も廃止され、投票率が50%に満たなくても、国民が望まない法律は廃止できるようになる。

今、政権運営は決して順風満帆ではありません。連立を組んだ極右勢力の移民排斥が連日報じられることで急速に支持を拡大し、支持率で五つ星を追い抜いてしまった。そして、変わらず既存政党とメディアは五つ星を目のカタキにし、金融セクターやマーケットも牙をむく。政権を取ってからも予断を許さない状況が続いています。イタリアに行くと支持者たちからも不満の声も聞こえてきます。聖フランチェスコの運動を模範として組織化を行わないために、巨大化した運動の運営に支障が出てきているようにも受けとれます。

でも彼らは、純粋に目的の実現に向かって大胆に歩を進めている。

動画はこう締めくくられています

僕らは現実を知っている
自分たちの頑張りにだけかかっていることも
この国が瓦礫だということも
とても難しい時代がまっていることも

緊張・問題・葛藤があるだろう
でも進む道は決まっている

革命は進化している  その1」への3件のフィードバック

  1. 「身近な地域で集まって、社会に良い提案をしよう」
    この言葉、その通りだと思いました。日本は、アベ政権の下 不合理な状態とそれを変えられない状態が続いています。
    その中で、憲法・原発・緊急事態条項など大きいところから論じていっても、既に考えている人には届くけれど無関心の人たちには届かないのではないかと感じています。
    私は子育て中なので、保育園の待機児童問題にはすごく関心があり、また待機児童解消のために運営される保育園がすごく苦しくなっていることも体感しています。
    待機児童・ポイント制・保育園のオムツ持ち帰り制度、こういうことに「なんで?」と思い「あたりまえ」にしないで問題提起して、変えていくことができれば、世の中もだんだん変わっていくと思うのです。
    そういうところから出発しようと思っています。役所に行って、ここ3-4年、いろいろ言っていたのですが、これでは変わらないし、言う先が違うのかもと思い、町の議員に立候補して先月当選しました。補欠選挙なので、地域のしがらみがないところでみなさん投票してくれたと思いますが。

    佐々木さんのfacebook記事はいつも興味深く読んでいます
    日本の「あたりまえ」「しょうがない」は、世界のあたりまえでも、あきらめでもない。
    これからも、情報発信 よろしくお願いします。楽しみにしています。

    1. ありがとうございます。オムツ持ち帰りって、衝撃的な話ですね。
      五つ星運動は、もちろん短いな問題を大事にしていますが、みんなで社会の目標設定もきちんとできています。「貧困のない社会」とか「ダイレクトデモクラシーの社会」等が、そう言うもので、大目標を共有して、着実にステップを踏んでいかないと、何年経っても何も変わらないどころか、悪くなっていると言うことになってます。そう言う形をつくれたらと思います。

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