意外な現代のダイレクトデモクラシーの実現 ブルーノ・カウフマン

ブルーノ・カウフマン グローバル・デモクラシー特派員

2018年11月1日

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ブルーノ・カウフマン(文) 佐々木重人(日本語訳)

台湾の市民は11月24日の国民投票の10の異なる課題について最後の発言をする。台湾のダイレクトデモクラシーの若い歴史のマイルストーンだ。
(swissinfo.ch)

後ろばかり見るたくさんのリーダー、困難な独裁の歴史、争う超大国に囲まれている世界のこの地域で、台湾の勝算は低いとみられがちだ。

しかし、2300万人の社会は着実に前進しており、世界の参加型デモクラシーの灯台になっている。

この日は早く始まる。「次世代の幸せのための連合」のキャンペーン本部に改造されたプライベートアパート。

蟻塚に入ったようだ。台北のダウンタウンの国会議事堂の近くにあるこの4部屋の最小スペースのアパートでさえ、キャンペーンの資材でいっぱいだ。 主に若者が数十人、全国に発送されるキットを梱包している。

「このキャンペーンは熱気づいてきて、まったく新しいものです」とFrank Tsengは言う。この30代半ばの男性はスポークスマンで、連合のリーダーの1人だ。

Frank Tsengは「幸せ連合」のリーダーの1人
(swissinfo.ch)

Frankと彼のチームだけでなく、実際すべてが新しい。日本、フィリピン、中国の間にある西太平洋の島国である台湾は、若いデモクラシーの歴史の重要なマイルストーンに向かっている。

11月24日には、約1900万人の市民が、市民自身がイニシアチブや国民投票によって始めた10のさまざまな国の問題を決めるよう求められている。

今年の初めにいわゆる「国民投票法」が発効し、「世界最高の直接民主化法の1つ」が創られた。そして1年も経たないうちに、16の先住民族を含む多くの民族グループからなるこの注目すべき島社会は、同性婚、原子力、性教育、食糧安全保障、オリンピック代表団の名称変更などの主要な問題を投票で決めようとしている。

「最初のステップで、プロセスに入るのに数千の署名を集めなければなりませんでした」Frankは言う。彼の「幸せ連合」は同性愛者に反対するものではなく、結婚と市民団体を隔離したいと強調している。

現行の婚姻法を違憲と宣言した台湾憲法裁判所の歴史的判決の後、様々な側から市民団体が同性婚と性教育に関する台湾の法律を微調整するために新しい市民イニシアチブのツールを熱心に利用した。

11月24日に投票にかけられる10件の実質的な問題のうち5件がこうした質問への対応だ。多くの近隣諸国で性的指向の問題が依然としてタブーとして扱われているこの地域で、これは前例のないことだ。

「幸せ連合」のたくさんのリーフレット、バナー、ステッカー
(swissinfo.ch)

「先週、10万人以上の人々が平等でオープンな立法のためのデモンストレーションに参加しました」平等な結婚と学校での性教育の2つのイニシアチブのリーダーの1人であるMiao Poyaは言う。

「これらのイニシアチブのために、わずか3ヶ月で必要な署名の倍以上、50万も集めました」彼女はいう。

今年初めに導入された新しい法律では、6ヶ月以内に少なくとも288,000の有効な署名が必要だ。法律は、署名を集めるのに電子システムの可能性も与えているが、これはまだ導入されていない。

その結果、最近台湾のどこにいても、請願用紙をもって人びとに近づき、提案を説明して署名をもらうキャンペイナーを見るだろう。

とても献身的な台湾の若者Miao Poyaは11月24日に台北の大安 – 元山地区で平行して行われる地方選挙でも活動しており、忙しい商店街に自分のキャンペーン本部を設置した。

「私は5人の雇用スタッフと約20人のボランティアを抱え、主にオンラインの寄付を通じてこの仕事に資金を提供しています」。「民主主義はあなたを幸せにしなければならない」というキャンペーンのスローガンの前で彼女はそういう。

Miao Poya (右)は同性婚と性教育を要求するグループの主要メンバーだ
(swissinfo.ch)

キャンペーン、選挙、国民投票をカバーするのに慣れているデモクラシー・リポーターである私でさえ、台北のこの日は心から驚く。

これまでに私は、こんなに献身的で、自分たちがつくった新しい機会を使うことを意識する人びとを今までみた事がない。

 

民主的な変化

最初の自由で公平な選挙はわずか20年以上前に行われ、2000年に最初の権力の民主的な変化が起こった。

他の独裁後の社会は次のステップに行くのに何十年もかかるのに、台湾は現代のデモクラシー向かって急速に進んできた。これは市民がリーダーを選ぶだけでなく、政治アジェンダを設定して意思決定プロセスに参加することもできる。

「ここまで来てとても嬉しいです。でもこれはほんの始まりに過ぎません」台北ツアーのもうひとつの立ちより先あるTaiwan Boradcasting Companyで会ったシニア・ジャーナリストは言った。

確かにまだ多くの挑戦とハードルがあるが、現実的なものもある。例えば、公共放送が予定する公開討論が30件あるが、1件につき3回だ。

Radio Taiwan Internationalは3つの国語(台湾語、北京語、客家語)と13のグローバル言語で放送されている。 RTIのドイツ語プログラムを率いるChiu Bihuiはいう「世界に我たちがこの国で何をしているのかを知っていることはとても重要です」。

 

感情的な問題

島としての位置だけでなく、特殊な歴史的状況(島国に対する未解決の中国の主張)のために、台湾の国際的な見え方は他の国と同じくらい明らかではない。

「1980年代以来、オリンピック大会の代表団は「チャイニーズ・タイペイ」と表示されてきました」台湾の人たちが3週間後に投票するもう1つの市民イニシアチブの主催者であるYang Jong-Herは言う。

今年の夏、いわゆる「台湾2020」の提案は、520,000以上の署名を集めることができた。それはオリンピック代表団のための新しい法規則を要求する。

もちろん、このイニシアチブは、島国の複雑な問題についてより大きな質問を表しているので、より象徴的な価値がある。

「深く感情的な問題だ」Yanはいう。その本部は同性愛のキャンペーンの支持者や反対者とは大きく違ってみえる。スポーツ協会のオフィスにあるこの巨大なスペースでは、主にシニアの活動家がキャンペーンの資材を送る。

 

セーフガード

例えば選挙日の間設置される包括的なセーフガードのような強固な統合から台湾のデモクラシーは程遠い。

イニシアチブのオーガナイザーとのミーティングの間少し話すと、中央選挙管理委員会の委員長In-Chin Chenはいう「すべての投票が本当に確実にカウントされるようにする必要がある」。

11月24日の選挙と国民投票の日に20万人以上の選挙管理官が配置され、すべての投票は数えられる前に独立したオブザーバーに見せられる。

 

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