スイス フルマネー・イニシアチブに関する連邦内閣の声明文

フルマネー・イニシアチブに対するスイス連邦政府の見解が昨年11月に出ています。その全文を翻訳しました。

スイスではレファレンダムの前に政府と議会が審議して国民の提案に対して賛否を表明します。でも、レファレンダムが法的拘束力を持ち、決めるのは国民なので、公的機関の賛否表明は諮問的なものにすぎません。

ベーシックインカム同様このイニシアチブも当然のごとく公的な機関は拒否を提言しますが、その理由づけがなかなか面白いです。ここからレファレンダムに向けて国民にどう説明して理解してもらうか、近代社会の大転換がかかった大事な活動です。


連邦内閣はフルマネー・イニシアチブの公文書を採択 

 

ベルン、09.11.2016 - 2016119日の閣議で、連邦内閣は、「危機に耐える貨幣:微量準備銀行制度の終焉(フルマネー・イニシアチブ)」という国民イニシアチブの公文書を採択した。それは反論なしにイニシアチブを拒否することを推奨する。イニシアチブは現在の貨幣制度の完全な転換を求めている。もしイニシアチブが認められるなら、スイスはテストされてない改革のモルモットになるだろう。受諾はスイス国立銀行の金融政策を複雑にし、スイス経済に大きなリスクをもたらす。

 

国民イニシアチブはスイスの通貨制度の新しい枠組みを提案している。連邦憲法の新99条はスイス国立銀行(SNB)に貨幣発行の独占権を与える。商業銀行は、現在のように要求払い預金(当座預金口座)によって融資する貸付をもはや与えることができなくなる。このイニシアチブはまた、SNBが政府部門と国民に直接配布することにより、負債のない循環に資金を投入することを規定している。提唱者は、この改革がより安定した銀行と金融システムをもたらすと考えている。

 

連邦内閣は確実な金融セクターの重要性を認めている。しかし、改革が安定化効果をもたらす可能性は低い。スイスはそれを単独で行うことになり、貨幣システムと金融セクターの広範囲で未だ試みられていない変革をもたらすであろう。このような金融制度の根本的な変革は大きなリスクを伴う。さらに、特に転換プロセスの中で金融セクターの激変が予想される。

 

このイニシアチブが要求する債務のない貨幣の創出は、SNBの信頼性を危うくする可能性がある。現在、SNBが流通させる貨幣は、主に通貨準備と金である財務報告書の資産によっている。このイニシアチブを受け入れることは、SNBがもはや資産を売却することでマネーサプライを減らすことが長期的にできる立場でなくなることを意味する。金融政策を実施して物価安定を確保することがより困難になることは別として、SNBは政治的な欲望にもっとさらされるだろう。

 

微量準備銀行制度の改革は、要求払い口座によって融資される貸付が認められなくなるため、銀行の事業範囲を大幅に制限することになる。銀行はこのため、一般により高い他の資金源に頼らなければならないだろう。銀行顧客の支払い取引コストはおそらく上昇するだろう。特に、金利マージン・ビジネスが収益の大部分を占める小規模な銀行はコスト上昇の影響を受ける。他の資金調達源で信用需要をカバーすることが不可能な場合、SNBは銀行に対応するローンを付与しなければならない。したがって、信用取引量の一部はSNBによって集中管理される。

 

連邦内閣は安定した金融センターのための既存の戦略を遵守したいと考えている。近年、バーゼルⅢ基準の調整やシステミックに重要な金融機関(失敗するには大き過ぎる)の要件が大幅に進歩した。預金者保護規定は現在、銀行口座にある顧客資産を100,000スイスフランにまで保護している。さらに、FINMAが銀行の過度のリスクを監督している。

 

したがって連邦内閣は、公文書で、議会が国民と州に対して「危機に耐える貨幣:微量準備銀行制度の終焉(フルマネー・イニシアチブ)」という国民イニシアチブの拒否を提案する。



原文は以下

https://www.admin.ch/gov/en/start/documentation/media-releases.msg-id-64444.html

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商社・コンサルタント会社・デベロッパー・環境団体・政党などをわたって会社つくりました。少し物書きもしてるだワン!

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